半島を出よ (上)(下) /村上龍
村上龍の長編小説。長い!
西暦2011年、マーケットの暴落で疲弊しきった日本が舞台。北朝鮮の部隊が自称「反乱軍」として福岡ドームを占拠。
政府が対応策をきめあぐねている間に、後続部隊の潜入を許してしまい…
といったあらすじ。
この自称「反乱軍」の目的が、米中軍事力の緩衝地帯を半島から九州へスライドさせること。
それにより中国は朝鮮半島の米軍を東へ追いやり、米国は経済が疲弊し極端に右傾化した日本を牽制できることで利害が一致する。
と、このあたり、やはり村上龍はうまいですね。「亡国のイージス」あたりがかすんで見える。
で、物語は政府が九州を切り捨て、独立へ・・・といったほうへシフトしていくのだけど、中盤から終盤へのストーリーの加速度がすさまじくてぐんぐん引き込まれる。
反乱軍壊滅の方法にちょーっとそれは無理があるんじゃないの??といったところはあるけれど、それも綿密に取材されたであろう細かな描写がフォローしてくれている。
なんにしても、少年達が殺人ブーメランや毒カエルで兵士をばんばんなぎ倒すなんとか無双みたいなのにならなくて、本当によかった(笑)
で、これまた映画化するそうで。しかも韓国で。いいのか?出来るのか?
でもまぁ、亡国のイージスみたいなコント映画しか作れない邦画よりは多少期待できるのかも。