博士の愛した数式 小川洋子
以前から気になっていた本が、文庫になっているのを見つけたので買ってみました。
過去の事故の影響で、80分しか物を記憶できない「博士」とその家政婦の「私」、そして「私」の息子「√」の3人が心を通わせていく物語。
物を記憶できないというのは、脳の高次機能障害で、記憶を司る「海馬」に損傷を受けたことでごくまれに起こる症例だというのを、以前何かで読んだことがある・・。
「博士」は朝、目を覚ますたび自分が60歳の老人に変貌したことに絶望し、(博士の中では昨日までは30代の若手研究者)毎日初対面の「私」と挨拶をかわすのだ。
数学者である博士は人と交わるのを極端に恐れ、数学を介してしか他人へアプローチする方法を知らない。「私」と「√」は彼から教えられるいろいろな数学から、だんだん彼の純粋な人柄に惹かれていく・・というのが話しの大筋。
√は全ての数字を優しく包み込む寛容な記号。友愛数。素数
正直、それほど得意でもない数学だけど、この物語にでてくる数学は全て不思議な魅力を持っている。学校でもこういうこと教えればちっとは興味ももてただろうに(#゚Д゚)
そして、最後の日に近づいていく3人。冷徹に思えた家政婦を依頼した、老婦人と博士の過去。
久しぶりに、良い本読んだなぁ〜とう感想です。
数学を使ったトリック(?)も偶然とは思えない運命を感じさせたし、なんとも優しい気持ちになれる本です。
お勧めです!
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/08/28
- メディア: 単行本
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