デジタルとアナログの狭間で

hideyasu2g2008-01-23


僕たちの仕事、建築設計の世界もいまやPC無しでは成り立たないところまできています。それでもほんの10数年前までは製図板にむかってシャープペンを走らせるのが当たり前だった業界のハズなのに。

僕がこの世界に入ったころにはすでに製図板は事務所の片隅でカバーを被ってその余生を過ごしていました。

そんな手描きの時代からも変わらない建築関係ならではの文具といえば、やっぱり三角スケール。1/100や1/50といった縮尺図面の寸法を測る、三角形をした定規です。図面のチェックの時や基本プランを描くときは手放せません。

そんな永久不変と思ってた三角スケールにも思わぬデジタル化の余波が!

写真の三角スケール。一見なんでもないように見えますが、実はコレ全ての縮尺が0.7倍(正確には0.707倍)されているんです。

もちろん普通に使えば正確な寸法は測れません。

実はこれ、A2サイズからA3サイズに縮小印刷したときに始めて寸法が測れるのです。
普段、僕たちは図面をA2用紙に描いています。もちろんCADを使って描いて行くわけですが、ディスプレイ上で見ている96dpiの解像度では、図面を全体表示すると細かな文字などはつぶれてしまって判読できません。

そこで、仕方なくプリントアウトしてチェックをしたりするわけですが、このA2というサイズはこの上なく場所を取るので、A3に縮小印刷して赤チェックを入れています。

その時に始めて威力を発揮するんですね。

これから先、ディスプレイの低価格化と高解像度化が進んで、200dpi程度が達成されれば、いつか消えていく文具なのかもしれません。
そのデジタルアナログ混在のいまだからこそ出てきた文具だとおもうと、なんだか面白いなぁと思いませんか?

数年前に銀座の伊東屋さんで購入。